この世に天使などいない。天使は,天使を求める気持ちの中にしかいない。そして,そんな天使に,普遍性はない。
タイムワーナー社のリチャード・パーソンズ社長は,オンライン音楽についてのフォーラムで基調講演を行ない,音楽ファイル共有ソフトのナップスター社を「悪魔」と評した。だが同氏は,ナップスターによる革命は巨大な潜在市場を知らしめ,自己満足な音楽業界に変化を迫っていることを明言した。
ナップスターに対する最初の司法判定は,今日にも下されるかもしれない。だが,すでにそんな判決など意味ないのだ(過去記事)。ナップスターのサーバーを止めようとも,大きなうねりを持った激流が,堤を壊してしまっている。裁判戦法ともとられているリキッドオーディオとの開発研究提携や,スプートニック7とのマーケティング協定は,ナップスター社の明確な道筋だ。ナップスターこそが唯一,未来の音楽マーケティングを実践している,に過ぎない。
悪魔と評されたナップスター。だが,この世界に天使などいない。いるのは,悪魔以上に,身を堕とし,身を肥やした音楽業界だけだ。さて,天使面をした明日を作れぬものと,悪魔呼ばわりされた明日を作り出すもの。私たちが歩むべき道も,明確にすべきだ。
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